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創造のためのアーカイヴ・プロジェクトとは
「個人の記憶」を「公共」へと介入する芸術、<介入の芸術>の共同研究

 表現者として「今の世界をどう見るか」という問いは、今日的芸術表現にとって大きなテーマです。とりわけ、パフォーミングアーツという身体を通した<個人の記憶>の堆積を、<公共>の場に提示するという行為は、つねに<個人>と<他者>を切り結ぶ、つまり<芸術>が<社会>へ介入するというその態度を、大きく問われるものであります。
 「創造のためのアーカイヴ・プロジェクト」は、アーティストと研究者が共同・恊働し、社会と個人にまつわる現実に向き合い、アーティストがすべきこととは何か、アーティストはどのような「リアル」を目指すのか、記憶と現実、生死の境目、そして文化的アイデンティティーを提示することによって、これからのアートと社会の関係を人々と共に考え、アートが新しい社会を構想する可能性を提示する活動です。

<介入の芸術>とは、現代のパフォーマティブな芸術作業が社会にどのような介入をなしうるのかを検証するものです。その際に<個人の記憶>と<公共の記憶>は重要な概念となります。グローバリゼーション/後期資本主義社会がもたらす新たな地球規模の全体化は、私たちに国民国家やトランス・ナショナル・アイデンティティの意味するもの、高度に資本化される社会における個の存在可能性といった困難な問いを突き付けます。そしてそれらは<個人の記憶>と<公共の記憶>のずれ、として現出し、<公共>に対する視点を持たない芸術はそのリアリティを失うこととなり、現在の社会を抱える諸問題に対して巨大な課題はテーマにさえなり得ないだろう。表現者が無数の<個人の記憶>を通して、社会に「介入」する作品を、いかに作成しえ、いかに他者と共有しうるのかを検討し、21世紀における全く新しい芸術と社会の関係を創造するものです。